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談話会・セミナー

第2回物理工学科教室談話会[古府 麻衣子 教授・6/10(火)10:30~]

講 師:古府 麻衣子 教授
所 属:東京大学 物性研究所 附属中性子科学研究施設
題 目:中性子で観る物質中の水素とスピンのダイナミクス
日 時:2025 年 6 月 10 日(火)10:30~
場 所:工 6 号館 1 階大会議室(対面のみ)

Abstract:
中性子は原子核の構成要素のひとつであり、粒子でありながら波の性質をもつ(ド・ブロイ波)。この性質を利用することにより、物質中の原子や分子の動きや位置に関する情報を知ることができる。軽元素、とくに水素やスピンを見るのが得意である。本講演では、金属水素化物、分子性液体、分子磁性体、スピングラスの中性子散乱研究を紹介する。金属水素化物では、重い金属原子がつくる結晶格子の間を水素原子が液体のように振る舞う。分子間相関の強い分子性液体では、ミクロなスケールで分子の拡散を見たときに、単純なフィックの法則に従わない挙動が見られる。分子ひとつがナノ磁石のように振る舞う単分子磁石では、スピン副準位間の遷移や磁気緩和挙動を観測することができる。古典系スピングラスでは、構造ガラスと同様にボーズ因子に従うブロードな局所励起が見られる。これらの例を通して、中性子が原子や分子、スピンのダイナミクス研究にどのように活用できるのか示したい。また、中性子をどのように作り出すのか、中性子を使ってどのように実験するのか、など中性子散乱手法の紹介も行う。

紹介教員:木村 剛 教授(物理工学専攻)、石坂 香子 教授(量子相エレクトロニクス研究センター)