物理工学科に興味を持つ
学生の皆さんへ

Physicsという英単語は元来、自然現象やあらゆる事物の知識の追求を意味する言葉でした。それに該当する日本語が「物理学」であり、物理学の真髄は多様な自然現象の背後にある普遍的な法則や概念を見つけ出すことにあると言えます。一方、現代社会においては、物理学は工学に直結する学問分野になっているとも言えます。物理学が工学の発展に大いに貢献した代表例として、量子力学の発見と物質科学の発展が牽引した20世紀半導体エレクトロニクスの隆盛が挙げられます。さらに近年では、光科学やナノテクノロジー、量子技術、量子情報といった将来の産業の芽となる様々な分野で物理学が工学と絡み合いを見せています。「物理工学」とは、このような物理と工学の絡み合いを追究し、基本的な物理法則の探求にとどまることなく、物理学に立脚して社会構造を根底から変革させる新たな工学の創造を図る学問分野です。
物理工学科では、「物性理論・計算物理」「先端物質創成」「量子物性」「光科学・量子情報・量子計測」などの分野で、新たな工学を創造する芽に一早く着眼し、新しい物理の潮流を作り、世界を牽引するといった研究の最前線の拠点を形成しています。そのような環境の下、物理学の基礎から工学への応用まで広い範囲の学問を体系的に学び、未来の革新的な価値を創造する基礎力とマインドセットを持つ人材の育成を行っています。本学科に進学した皆さんはまず、物理や数学、工学、実験の基礎を重点的に学びます。そして4年生の卒業論文研究では、研究室という最先端の研究現場に飛び込み、教員や先輩の指導の下、世界を相手に切磋琢磨する刺激的な研究環境において日々を送ることになります。
我々は、ここ数年の経験で従来の社会の常識や価値観が日々大きく変動し、数年後ですら世界がどのようなものになっているのかは、誰にも予測がつかないということを実体験しました。この経験からも明らかなように、皆さんが社会の第一線で活躍する10年、20年後、社会は予想を超えた新しい局面を迎えているに違いありません。しかし、時代がどのように変化しようとも、物事の本質に立ち返って考える物理工学の素養は、将来皆さんが社会に出てから直面するであろう様々な課題の解決に対しても応用できるものです。物理学を広く深く学びながら、それを工学へ応用したい、そして長い将来を見据えた社会に役立つことをしたい、という志を抱くあなたにとって、物理工学科は最適な環境を提供する学科です。