物理工学科に興味を持つ
学生の皆さんへ

物理学の原理を極め、それを工学に展開し、さらにその技術を用いて物理学を進化させる、このように、物理学と工学は切っても切れない関係にあります。例えば、量子力学という学問は、製鉄所の溶鉱炉の温度計測をきっかけに生まれ、これを基盤にして、現代社会を根幹から支える半導体エレクトロニクスが発展しました。物理工学とは、このような物理と工学の絡み合いであり、最も基本的な学理を探求するとともに、社会構造を根底から変革させる原動力を作ってゆく営みです。だからこそ、物理工学科は工学部に属し、基礎学理の探求にとどまらない教育・研究を行っています。
物理工学科は、「物性理論・計算物理」「先端物質創成」「量子物性」「光科学・量子情報・量子計測」の分野で世界を牽引しています。ひとりひとりの教員が各分野を代表するリーダーであると同時に、相互の繋がりがとても強いのが特徴です。異なる研究グループのメンバーが非常に近い距離で頻繁に行き来しており、日々の気楽な相談から共同研究が産まれることも日常茶飯事です。また、工学部にあって、理論が非常に強いことも大きな特徴です。
本学科に進学した皆さんはまず、物理や数学、工学、実験の基礎を体系的、重点的に学びます。そして4年生の卒業論文研究では、研究室という最先端の現場に飛び込み、世界を相手に切磋琢磨する刺激的な日々を送ります。物理という共通言語をもとに皆が対等に議論する場が醸成されており、学生もひとりの研究者として尊重されるのも本学科の特徴です。もちろんどの研究室でも教員や先輩が丁寧な研究指導を行います。この卒業論文を終えるころには、強大な目標に立ち向かう基礎体力と力強いマインドセットが身についていることを実感することでしょう。
大学生の皆さんが社会の第一線で活躍する10年、20年後、社会は予想を超えた新しい局面を迎えているに違いありません。しかし、時代がどのように変わり、どのような問題に直面しようと、いつも物事の基本に立ち戻って考える物理工学の素養があれば問題解決のためにどこで何を調べどのように行動すべきかといった対応力を発揮できるはずです。
物理学を広く深く学びながら、それを工学へ応用したい、そして社会に役立つことをしたい、という志をもつ学生さんにとって、物理工学科は最高の舞台になると信じます。その最前線に立って学び考え、それが未来に活かされる喜びをぜひ味わってみてください。大いに期待しています。