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物工PICKUP
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木村 真栄/大竹 雄太郎/安波 貴広/窪田 浩之/シッチャヌギリッツ・タナポーン

3年生座談会

物工の授業って難しい?
どんな人が物工を選んでいる??
入ってみてわかった「物工3年生のリアルライフ」を現役3年生の5人に語ってもらいました。

2019年11月29日更新
写真:2019年度3年生座談会

参加メンバーMembers

写真:木村 真栄
木村 真栄
運動会の卓球部に所属。複雑な数式も美しく出力できる組版処理システムTeXに憧れているが、レポートに追われている今はなかなか手が出せない。理Ⅰ出身。
写真:大竹 雄太郎
大竹 雄太郎
運動会の軟式庭球部に所属し、3年生になってからは幹部代として忙しくも楽しい日々を送る。オフの日も2日に1回はジムに通うほど運動好き。理Ⅰ出身。
写真:安波 貴広
安波 貴広
本郷や上野の何気ない風情や飲食店が気に入り、東大周辺を散歩するのが趣味に。勉強で疲れた時は御殿下体育館で泳いだり上野公園を走ったりして気分転換。理Ⅰ出身。
写真:窪田 浩之
窪田 浩之
理Ⅱ出身。教職課程も取っている一方、五月祭常任委員会にも参加したりと、パワフルな学生生活。今興味があるのは量子コンピュータや超伝導、ホログラフィー等々。
写真:シッチャヌギリッツ・タナポーン
シッチャヌギリッツ・タナポーン
「物理をやるなら日本」と、タイから日本へ。最近は生物学にも興味の範囲を広げている。ルービックキューブサークルに所属し、日本の歌を歌うことも好き。理Ⅰ出身。

物工を選んだ決め手は?

タナポーン僕は自然現象の素晴らしさを説明できる物理の美しさが好きで、理論物理に興味を持っていましたが、その知識を用いて何かの目的を果たすデバイスを作ることにも面白さを感じていました。それで物工と理物のどちらか迷った末に、理論もクリエイティブも両方やれる物工を選びました。

大竹僕も理物と迷いました。学科ガイダンスに出て、最初からガチガチに理論に絞るより、理論も実験もできる物工の方がやれることの範囲が広がると思いました。前期の授業で物の性質を調べる研究が楽しそうだと思ったせいもあります。

木村物工の他に応用化学や後期教養課程も選択肢として考えていました。前期教養では化学系の授業も取っていたものの物理の授業の方が多くて、そこで得た知識を生かそうと物工を選びました。

安波僕は昔から工学部なら機械か電気という謎の価値観を持っていましたが(笑)、大学に入ってから量子力学に初めて触れて、これを深く学ぶなら物工だと考えて選びました。

窪田最初は後期教養学部の数理コースか計数工学科に進みたい気持ちの方が大きかったんですが、数理は教授の数のわりに学生が少ない上、駒場に残ることになるので外しました。計数は進振りの点数が高く理Ⅱから入るのは厳しかったので断念。そこで、昔から憧れていた量子情報の研究室もある物工を選びました。物工なら計数工学にも触れられるし、工学的なものづくりもできます。

物工の授業、ハードですか?

安波とにかく難しい。思ったより実験が少なくて高校スタイルの授業がほとんどです。

窪田3Sの授業は特に大変でした。課題レポートの量が多過ぎて、復習する時間も取れない。演習の課題は日本語で調べても英語で調べても解けず、自力で考えるしかない。

タナポーンレポートは多いけれど、慣れます。やっているうちに考え方も身に付きます。

安波忙しい中でもみんなそれなりにちゃんと頭を切り替えていて、部活をやったり趣味をやったり旅行したりという人も多いのがいいね。自分なりにうまくやらないと体を壊しそう。

大竹僕は部活をしているからだけど、時間がなくて徹夜することも。実験とレポートとかぶっている時は部活から帰って飯を食って統計を解いて眠い状態で学校に行って実験レポートをやってという生活でした。特に3Sはほぼ毎日一限があってマジ眠かった。部活の方も3年生は方針を決める代になるので、どっちも頑張るしかない。今年は一応2位に入賞できたので、やり切った感はあったな。

窪田大変だけど先生方の指導の熱が高いので、わからないことがあればメールでもすぐに返事をもらえます。レポートの多さも僕ら学生を育ててくれるために必要なことなのかも。

木村問題が解けた時の達成感が気持ち良い。特に、統計力学の演習は数学っぽくて解くのが楽しい。そういう快感を感じたい人には楽しい学科です。

授業内容は面白い?

タナポーン学科に入る前は統計の知識がなく、統計力学が理解できるか自信がありませんでした。統計力学は名前の通り統計と確率の考え方を使って物理現象を理解するものですが、実は統計の考え方から物理の見方が広がることがわかってきて、面白さを感じています。

安波僕は2Aの岩佐(義宏)先生の統計熱力学が面白かった。最近は有田先生の量子力学の授業が面白いです。内容は難しいんだけどたまに海外に行った時の話などの雑談が癒やしのように入ってくるので、それでリセットされて頑張ろうという気になる(笑)。

大竹3Aの量子力学第三、統計力学第二も面白い。統計力学は目に見えないレベルのことを式にできるのが感動しますね。

タナポーン僕は量子コンピュータ特別講義Ⅲで、今までより優れた量子コンピュータを作る話に感動しました。

木村齊藤(英治)先生の量子物理工学も面白い。

窪田量子力学の応用についての話だね。トポロジカル絶縁体だとか超伝導ってなんかかっこいい。中身はよくわかってないけど(笑)

タナポーン東大には世界トップクラスの先生方がいるし、最先端の研究装置にも恵まれています。

窪田3Aあたりからそんなトップクラスの領域が見えてきました。でも僕は4年生の研究発表のポスターもまだよく飲み込めない。本当にあそこまで行けるんだろうか(笑)

学科内の雰囲気はどんな感じ?

大竹物工の同期は勉強が得意な人が多くてすごい。わからないことも聞けば誰かしら理解していて教えてくれます。

窪田「ライブラの神」がいるんです。ライブラリープラザというところで僕や安波など何人か集まって悩みながらレポートを書いたりしているんですが、できる「神」が共有してくれるヒントを糧に頑張っています。学友には恵まれていますよ。

木村試験対策とかレポートの方針をドライブに上げてくれる人が1科目に1人はいてくれて。

安波趣味を楽しんでいる人もいれば常に勉強している人もいる。教え合いやすい雰囲気があるので難しい問題が出たときは助かります。

木村齊藤先生が言っていたけど、物工出身者は社会のいろいろな分野に進んでいるので、将来の仕事にも物工の人脈が役に立つらしいです。

物工に進む後輩の皆さんへ

タナポーン自然現象を説明できるというのは人間の素晴らしいところだと思います。今学んでいることもすごいことばかりだけど、これよりすごいこともあるはず、と思って勉強しています。

安波今は基礎ばかりやっていますが、1年前と比べたらすごくわかるようになってきました。日常で何気なく使っているものがこんな原理だったのかと驚くこともあって。そんな物理を全部完璧に理解できる日が来るのかは謎ですが(笑)

タナポーンもし物事の根本を勉強したくてものづくりにも興味を持っているなら、この学科はぴったりだと思います。ぜひ来てください。

窪田物理の根本を理解するというのは確かですが、ものづくりの方はいかにも工学部っぽいデバイスを作るというよりは基礎の物性に近い世界。量子コンピュータを作っている研究室もあるけれど、ものづくりそのものに至るまでが他の学科と比べて少し長い気がします。そこを理解した上でモチベーションをもって学んでいくといいと思います。

各メンバーのインタビュー動画は以下から御覧ください