学生目線で見た物理工学科の特徴
まずは私自身のバックグラウンドを紹介します。私は皆さんのように1年生から大学に入学したのではなく、高専から物理工学科の3年生に編入しました。そのため、この進学ガイダンスブックを手にしている皆さんとは若干視点が異なるかもしれませんが、実際に進学してから印象的だったことをご紹介します。
- 科目のほとんどが基礎科目
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物理工学科のカリキュラムを見ると、「電磁気学」「量子力学」「統計力学」などの科目が並び、「工学部」という割にはほとんどが物理の基礎科目から構成されています。私も「今学んでいることが、どのように研究につながっていくのだろう・・・」と期待(と不安)を膨らませながら講義を受けていました。その答えがわかるのは4年生になってからです。
今振り返ってみると、基礎科目を固める期間があったからこそ、現在の研究活動に励むことができるのだと実感します。
- 学生実験は少なめ
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実は3年生までの期間の学生実験はそれほど多くはありません。正直なところ学部3年生までは、「こんなに実験が少なくて大丈夫なのか?」と疑問を抱いていました。皆さんの中にも、これでは物足りないと思う人もいるかもしれません。しかし、4年生になれば卒業研究が待っているのでご安心ください。
物理工学科に来て良かったこと
- 研究の最前線に関われる
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どのような分野でも言えることですが、研究の最前線に関わることができるのは、何にも代えがたい経験だと思います。もちろん「研究」自体は、大学や研究機関、民間企業など様々な環境で、広い分野・視点で行われています。
しかしどのような分野であれ、一流の研究者の方々と共に最前線の研究に関わることができる機会はそう簡単に得られるものではありません。物理工学科でできる研究というのは、そんな貴重な機会なわけです。
皆さんがどのような進路を選ぶとしても、この経験は必ず生きると思います。
- 伝える力の重要さを実感
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物理工学科で行われている研究のほとんどは基礎研究と言われる研究です。
しかも、その内容は難解ですぐに理解できるようなものではありません。このため他分野の研究と比較して、研究内容やその価値を他人に伝えることには大変苦労します。私も研究を発表する機会がありますが、細部まで正確に伝えることはとても難しいと実感します。
しかし、そのような経験を繰り返すことで、少しずつ伝える力をつけることができています。どのような場でも人に伝える力は重要で、日々の研究を通してその力を鍛えることができるのは物理工学科の魅力だと思います。
進路を考えている新2年生へのメッセージ
多くの選択肢の中から進学先を決めるというのは、人生の1つの分岐点だと思います。私は中学校を出てすぐに自分の専門分野を絞ってきた人間なので、皆さんのように多くの選択肢を持った状況を大変羨ましく思えます。
しかし、同時に大変悩ましいものでもあるのでしょう。進学先を決めるポイントは人それぞれだと思いますが、自分の選んだ進路に自信を持って進んで欲しいなと思います。
進路が決まった段階では、選んだ道が正解だったかはわかりません。選んだ進路に後悔のないように最善を尽くすことこそが大切だと思います。皆さんのように実力があれば、どのような進路であっても、その環境でしか得られない多くのことを学ぶことができるはずです。
もしその中で、物理工学科を選んで頂けるとすればとても喜ばしいことですし、皆さんの期待に相応しい学びの場であると思います。