物理工学輪講第二
7月16日(水)
[注意事項]
輪講第二の「題目」・「要旨」は発表の1週間前までに office[at]ap.t.u-tokyo.ac.jp 宛てに送付して下さい。
発表日
2025年7月16日(水)14:55〜16:55

Aグループ

発表者名 東 幸希
指導教員名 米田 淳 准教授
論文題目 半導体スピン量子ビットにおける高忠実度2量子ビット操作の実現
要旨 表面符号における誤り訂正閾値とされる99%を超える忠実度の2量子ビット操作は、量子コンピュータの研究における重要なマイルストーンであるが、半導体量子ビットでは長年実現が困難であった。本発表では、この課題を克服した論文を、その具体的な手法や工夫に焦点を当てながら紹介する。
発表者名 高橋 銀河
指導教員名 米田 淳 准教授
論文題目 ホッピング方式による半導体スピン量子プロセッサ操作
要旨 半導体量子ドット間でのホッピングを利用したスピン量子制御は、半導体スピン量子プロセッサの集積化にむけて、従来の高周波共鳴駆動に代わる低電力・高忠実度な制御手法として注目されている。本発表では、Ge量子ドット中の正孔スピンを用いて、量子化軸のサイト依存性を利用し、ベースバンド信号のみでホッピング方式による高忠実度ゲート操作を達成した研究を紹介する。
発表者名 熊倉 諒
指導教員名 末次 祥大 准教授
論文題目 カゴメ反強磁性体YCu3(OH)6.5Br2.5における量子スピン液体と1/9プラトー
要旨 強い幾何学的フラストレーションを持つカゴメ反強磁性体では通常の磁気秩序が抑制され、ゼロ磁場では量子スピン液体状態、強磁場下では1/9プラトー状態などの特異な状態が発現すると期待されている。本発表ではカゴメ反強磁性体YCu3(OH)6.5Br2.5における低エネルギースピン励起や1/9プラトー状態についての最近の研究について紹介する。

Bグループ

発表者名 山口 太一
指導教員名 末次 祥大 准教授
論文題目 K2Cr3As3に現れるスピン三重項超伝導
要旨 スピン三重項超伝導体では、スピン一重項でCooper対を組む通常の超伝導体と異なり、スピン三重項のCooper対が形成される。本発表では、スピン三重項超伝導の概要を述べたのち、その候補物質であるK2Cr3As3を取り上げ、そこに現れるスピン三重項超伝導的性質について検証した研究を紹介する。
発表者名 下仲 快和
指導教員名 関 真一郎 教授
論文題目 反強磁性体における異常ホール効果
要旨 ホール効果は、電子の進行方向が曲げられる現象のことを指しており、一般に時間反転対称性の破れに起因して発現する。ホール効果の起源としては、磁場に比例して生じる正常ホール効果と、強磁性体中の磁化に比例して生じる異常ホール効果の2種類が良く知られている。一方、磁化がゼロの反強磁性体の場合でも、スピン配列が時間反転対称性を破っている場合には、強磁性体に匹敵する大きさの異常ホール効果が観測できることが最近発見され、新しい磁気情報媒体としての応用が期待されている。
本発表ではまず異常ホール効果の一般論としてベリー位相や内因性機構・外因性機構について説明し、ワイル点に関連する事項にも触れた後、反強磁性体における異常ホール効果を紹介する。
発表者名 尾藤 優
指導教員名 関 真一郎 教授
論文題目 磁気スキルミオンの形成機構と物性
要旨 磁気スキルミオンは、物質中に観測される渦状の磁気構造である。
トポロジカルな保護を受けていることで知られ、次世代の情報担体としての応用が期待されている。
本発表では、磁気構造を形作るスピン間の相互作用と、スキルミオンの形成機構について紹介する。
また、スキルミオンによって引き起こされる第三のホール効果である、トポロジカルホール効果についても紹介する。