物理工学輪講第二
7月12日
[注意事項]
輪講第二の「題目」・「要旨」は発表の1週間前までに office[at]ap.t.u-tokyo.ac.jp 宛てに送付して下さい。
発表日
2022年7月12日(火)14:55〜16:55

Aグループ

発表者名 鈴木 拓海
指導教員名 古澤 明 教授/遠藤 護 講師
論文題目 モード選択的な光子引き去りによるmultimode-非ガウス状態の実験的生成
要旨 21世紀最大級の技術革新として期待される量子コンピュータ。
特に光量子コンピュータにおいては「multimode-量子もつれ」と「非ガウス状態」がその実現の要となっている。
今回の発表では、非線形光学効果を応用したモード選択的光子引き去りによりmultimode-量子もつれと非ガウス状態を併せ持つ量子状態を生成する手法に関する論文を紹介する。
発表者名 ハ ギョンミン
指導教員名 古澤 明 教授/遠藤 護 講師
論文題目 Telemirror, telefilterと因果律
要旨 光量子コンピュータの最小の単位は光学モードである。量子光学でのユニタリ操作はいくつかだけの光学モードへの作用で定義されるが、実際の多くの実験装置はほぼ全ての光学モードに作用する。
本発表では、量子テレポテーションを利用することで特定の光学モードのみを通過させ他の光学モードはフィルタリングできるtelemirrorとtelefilterを紹介する。これらに時間的に離れている光学モードを入力する場合を考えると、一見すると因果律に反するように見えるが、telemirrorとtelefilterには時間遅れが内在しているため、因果律に反しない。最後に、時間遅れのないtelemirrorとtelefilterを紹介し、これらはどの光学モードをフィルタリングするか調べる。
発表者名 三島 萌登
指導教員名 古澤 明 教授/遠藤 護 講師
論文題目 事後選択を用いないGKP量子ビットの生成方法
要旨 実用的な量子コンピュータの実現のためには,誤り訂正が不可欠である.無限次元量子系を用いる光量子計算などにおいて誤り訂正のための手段として注目されているのが,状態空間の2次元部分空間を用いるGKP(Gottesman-Kitaev-Preskill)量子ビットである.
光学系におけるGKP量子ビットの生成方法については先行研究が存在していたが,その手法はプロトコル中に測定を伴い,そこで望みの測定結果が出た時のみを採用(事後選択)する必要があった.本発表では,位相推定というアルゴリズムによりこの手法を見直すことで,事後選択を用いずともGKP量子ビットの生成が可能であることを示した論文について紹介する.

Bグループ

発表者名 川本 知輝
指導教員名 岩佐 義宏 教授
論文題目 空間反転対称性の破れた超伝導体における超伝導ダイオード効果
要旨 空間反転対称性の破れた超伝導体は、反転対称性の破れに起因する新奇な超伝導状態ないし新奇機能性開拓の文脈から注目を集めている。本発表では、近年報告された反転対称性の破れた超伝導体における超伝導ダイオード効果を紹介する。超伝導ダイオード効果とは、電流を流す向きに応じて超伝導状態と常伝導状態がスイッチングする現象である。本発表では、人工超格子Rashba超伝導体において超伝導ダイオード効果を実現した実験成果と、対応する理論提案について紹介する。
発表者名 小口 尚志
指導教員名 岩佐 義宏 教授
論文題目 二次元超伝導体におけるスピン軌道相互作用とイジング超伝導
要旨 一般に、超伝導状態は臨界磁場より強い磁場を印加すると破壊されて常伝導状態へと遷移する。しかし、特別な対称性を持つ二次元超伝導体では、スピン軌道相互作用によってクーパー対のスピンの向きが特定の方向に固定される結果、従来の極限を遥かに上回る巨大な臨界磁場が観測されることが知られており、イジング超伝導と呼ばれている。
本発表ではそれぞれ異なる対称性に起因する2種類のイジング超伝導を紹介する。
発表者名 コラック 尚芸仁平
指導教員名 岩佐 義宏 教授
論文題目 WTe2における非線形異常ホール効果
要旨 一般に知られるホール効果は時間反転対称性が破れた系でなければ生じない。しかし、空間反転対称性が破れている系では時間反転対称条件下でも2次の非線形なホール応答が許されることが明らかとなった。この現象は非線形異常ホール効果と呼ばれ、空間反転対称性の破れに起因するBerry曲率双極子により説明がなされている。今回は最も代表的な物質であるWTe2を題材に非線形ホール効果及びその詳細な振る舞いについて発表する。