物理工学輪講第二
7月8日
[注意事項]
輪講第二の「題目」・「要旨」は発表の1週間前までに office[at]ap.t.u-tokyo.ac.jp 宛てに送付して下さい。
発表日
2025年7月8日(火)14:55〜16:55

Aグループ

発表者名 福住 太希
指導教員名 川﨑 雅司 教授
論文題目 ペロブスカイト酸化物ヘテロ界面における創発磁気輸送現象の研究
要旨 非自明な磁気構造あるいはバンド構造を持つ物質中を運動する電子は、仮想的な磁場である創発磁場によって駆動され、創発磁気輸送現象を発現する。本発表では、酸化物ヘテロ界面において近年発見された創発磁場の近接効果について紹介する。
発表者名 平嶋 宏二郎
指導教員名 川﨑 雅司 教授
論文題目 CO2レーザーを用いた酸化物薄膜の高品質化
要旨 酸化物ヘテロ界面に生じる創発磁場の近接効果を観測するためには、高品質な酸化物超薄膜の作製技術が不可欠である。本発表では、CO2レーザーを用いた基板直接加熱法に基づく酸化物薄膜作製技術の最近の進展について紹介する。
発表者名 山森 智弥
指導教員名 高橋 陽太郎 准教授
論文題目 テラヘルツ磁気光学分光による遍歴強磁性体SrRuO3の異常ホール効果の研究
要旨 強磁性体で生じる異常ホール効果は、バンド間遷移に基づく内因性機構と不純物散乱に基づく外因性機構という2つの起源が提案されている。
今回は、強磁性体SrRuO3のホール伝導度スペクトルをテラヘルツ帯での分光測定によって調べ、異常ホール効果に対する内因性機構の寄与を明らかにした研究を紹介する。

Bグループ

発表者名 小松﨑 武士
指導教員名 芝内 孝禎 教授・橋本 顕一郎 准教授
論文題目 URu2Si2における巨大ネルンスト効果
要旨 ネルンスト効果は殆どすべての超伝導体においてガウス型の超伝導ゆらぎで説明される。しかし近年、高温超伝導体の擬ギャップ相でガウス型ゆらぎで説明できない大きなネルンスト効果が観測され、議論の的になっている。このような背景の下で、本発表ではカイラルd波超伝導体の候補であるURu2Si2の巨大ネルンスト効果を観測した研究を紹介する。
発表者名 佐藤 治憲
指導教員名 芝内 孝禎 教授・橋本 顕一郎 准教授
論文題目 鉄系超伝導Fe(Se, S)における第四の超伝導状態の検証
要旨 鉄系超伝導体のFe(Se,S)はBogoliubov Fermi面という二次元的なギャップノードを持つ新規な超伝導状態の実現が期待されている。このような超伝導状態では時間反転対称性が破れており、絶対零度の極限でもクーパー対を組まない準粒子の存在が考えられている。
本発表ではFe(Se,S)における比熱、STM、ARPES、μSRの4つの測定と理論研究を紹介し、超伝導状態について議論を行う。
発表者名 田中 悠吾
指導教員名 芝内 孝禎 教授・橋本 顕一郎 准教授
論文題目 異方的低エネルギー励起により探知されるUTe2のカイラル超伝導
要旨 ウラン系化合物UTe2はカイラルスピン三重項超伝導の発現可能性が指摘されており、表面におけるマヨラナ準粒子の観測等が期待されている。
今回の発表では、磁場侵入長等を用いて異方的な超伝導ギャップの構造を解明した論文を紹介する。