物理工学輪講第二
7月1日
[注意事項]
輪講第二の「題目」・「要旨」は発表の1週間前までに office[at]ap.t.u-tokyo.ac.jp 宛てに送付して下さい。
発表日
2025年7月1日(火)14:55〜16:55

Aグループ

発表者名 秋山 香月
指導教員名 有馬 孝尚 教授・徳永 祐介 准教授
論文題目 メープルリーフ格子Ho_3ScO_6に現れるベクトルスピンキラリティ
要旨 三角格子から1/7の格子点を除いたメープルリーフ格子(MLL)では、磁気フラストレーションに起因する新奇な磁気現象の発現が注目されている。本発表では、MLL構造をもつHo_3ScO_6において、各三角形に現れるベクトルスピンキラリティの回転方向が揃った秩序が実現することを明らかにした研究を紹介する。
発表者名 ポン ピィ パイン
指導教員名 有馬 孝尚 教授・徳永 祐介 准教授
論文題目 ダブルペロブスカイト酸化物におけるvalence bond glassの観測
要旨 幾何学的フラストレート格子上に存在するスピン間に、反強磁性相互作用が存在する結晶では、非古典的なスピン配列が生じうる。本発表では、典型的な3次元フラストレート系である面心立方格子を有するダブルペロブスカイト酸化物に着目する。特に、Ba₂YMoO₆で実現するvalence bond glass (VBG)というスピン状態を観測した研究について紹介する。
発表者名 水鳥 太雅
指導教員名 有馬 孝尚 教授・徳永 祐介 准教授
論文題目 リバースモンテカルロ法による汎用的な構造解析手法の確立
要旨 リバースモンテカルロ法(RMC法)は実験データをもとに構造モデルを生成する手法である。X線、中性子、電子の散乱などの様々な実験データを用いられることに加え、結晶だけではなく液体やポリマー、ガラス状物質など、多くの物質に適用できる汎用性の高さが特徴である。本発表では、RMC法の原理、特徴、使用上の注意点、そしてその応用例について説明する。

Bグループ

発表者名 工藤 瑞穂
指導教員名 齊藤 英治 教授
論文題目 フォノン系における2モード相関の実現
要旨 フォノンは格子振動の素励起であり、熱平衡状態では複数のモードが互いに独立にボルツマン分布に従って生成される。フォノンの制御は、熱輸送技術や量子コンピュータなどの様々な分野への応用が期待される技術である。本発表では2モードスクイージングにより2つのフォノン系を相関させる手法を紹介する。
発表者名 建部 亮太
指導教員名 齊藤 英治 教授
論文題目 時間反転対称な系における非相反電気伝導
要旨 非相反電気伝導は順方向と逆方向でその伝導特性が異なる性質である。本効果は従来pn接合のような接合系で観測されてきたが、近年様々な低対称バルク物質で発現する事が明らかになりつつある。特に空間反転対称性が破れた物質の中には、時間反転対称性を保ったままベリー双極子由来で非相反電気伝導が生じるものが存在する。本発表では、WTe2を用いてベリー曲率双極子由来の非相反電気伝導が報告された研究を紹介する。