物理工学輪講第二
6月13日
[注意事項]
輪講第二の「題目」・「要旨」は発表の1週間前までに office[at]ap.t.u-tokyo.ac.jp 宛てに送付して下さい。
発表日
2023年6月13日(火)14:55〜16:55

Aグループ

発表者名 清永 優斗
指導教員名 十倉 好紀 卓越教授
論文題目 異常ホール効果とベリー位相
要旨 異常ホール効果は強磁性体のホール抵抗における磁化に比例した寄与として知られる一方、磁化に非単調に依存する特異な異常ホール効果も発見され、それらはベリー位相に由来することがわかった。本発表では、異常ホール効果についての初期の議論から出発し、ベリー位相との関連を示し、異常ホール伝導度をベリー位相の定義から導出する。最後に、異常ホール伝導率が量子化される量子異常ホール効果についても紹介する。
発表者名 鈴木 勇力
指導教員名 十倉 好紀 卓越教授
論文題目 らせん磁性と創発電磁場
要旨 創発電磁場は、電子が局在スピンと向きを揃えながら運動することで獲得するベリー位相に由来し、多彩で興味深い現象を引き起こし、かつ磁気構造と密接に関係している。
本発表では、前半で、スピンに働く複数の相互作用の競合で現れるらせん磁性と、その重ね合わせで表されるスキルミオンについて紹介する。
後半では、創発電磁場の簡単な導入、および創発電磁場が引き起こすトポロジカルホール効果、及び創発インダクタについて紹介する。
発表者名 八木 春樹
指導教員名 十倉 好紀 卓越教授
論文題目 新たなトポロジカル電子状態の探索に向けて トポロジカル半金属に特徴的な物性と物質例
要旨 近年トポロジーによる電子状態の分類学が一大研究分野になっており、基礎科学的興味だけでなく、応用の観点からも重要視されている。本発表で取り扱うトポロジカル半金属は、対称性に保護されたロバストな線形分散を持ち、自明な絶縁体からトポロジカル絶縁体への転移点としても理解される。本発表では、身近なトポロジカル半金属であるグラフェンを切り口に運動量空間におけるトポロジーを記述するBerry位相を導入し、理論的観点から三次元系におけるトポロジカルWeyl半金属の性質と、量子力学的機構に基づいた特徴的な物理現象を重点的に解説する。そして、実例としてhalf-Heusler化合物[R]PtBi・[R]PbBiの物性、卒業研究の方針を簡潔に述べる。

Bグループ

発表者名 岡村 圭太
指導教員名 香取 秀俊 教授/牛島 一朗 講師
論文題目 連続超放射レーザーに向けた共振器への連続な原子導入
要旨 現在実現しているパルス状の超放射レーザーを用いた時計よりもさらに安定度の高い時計をつくるためには、連続的な超放射レーザーを用いて、不連続測定特有のノイズを取り除くことが望まれる。本発表では、連続的な超放射レーザをつくる準備として、Sr原子の極低温までの冷却と共振器への輸送及びカップルを連続的に行うことに成功した論文を紹介する。
発表者名 濵野 直紀
指導教員名 香取 秀俊 教授/牛島 一朗 講師
論文題目 量子非破壊(QND)測定を利用した光格子時計のQ値の向上
要旨 光格子時計は通常,測定ごとに原子を新たに用意しながら局部発振器(LO)の周波数揺らぎを測定している.本発表では量子非破壊(QND)測定を用いたAtom phase lock(APL)という手法を導入しLOの周波数揺らぎを長時間にわたり連続的に補正することで光格子時計の安定度を向上した論文について紹介する.
発表者名 本多 健亮
指導教員名 香取 秀俊 教授/牛島 一朗 講師
論文題目 光周波数コムによる光格子時計からのマイクロ波生成
要旨 光格子時計は光領域の周波数を用いて18桁の周波数安定性を実現する。この周波数安定性をもつ信号を、現在の技術との親和性が高いマイクロ波領域に生成することが課題とされてきた。本発表では光周波数コムを用いて光格子時計から18桁の周波数安定性を持つ10ギガヘルツのマイクロ波の生成をおこなった実験を紹介する。