物理工学科カリキュラムcurriculum
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基礎物理学・先端物理学
表面物理

講義項目Outline

固体の表面・界面ではバルクの持つ対称性・次元性が低下するため,物理的・化学的性質が大きく変化し,バルクには見られない新しい構造・物性が出現する.例として,表面準位,表面磁性,トポロジカル表面状態などがある.また固体表面は,異なる2つの相間の物質・エネルギー交換の場としての役割を担い,気相を扱う原子・分子物理と固相を扱う固体物理の境界領域に属する.本講義では,最先端の研究例を交えながら,表面物理の基本的な概念を講義する.

0.講義概要:表面研究の意義,歴史

1.表面エネルギーとは.仕事関数と内部ポテンシャル

2.表面の原子配列構造
  表面で見られる超周期構造
   2次元周期格子の対称性と空間群 (表面構造の表記法)

  表面の構造を調べる
   電子線回折:電子の散乱と回折
   走査トンネル顕微鏡(STM) :原理とSTMで見えるもの

  電子状態,振動状態,磁性,超伝導
   表面原子振動:フォノンと表面局在フォノン,フォノンポラリトン

3.表面の電子状態
  表面準位:エネルギー準位と波動関数の性質
  表面の安定化と表面再構成, 表面相転移
  鏡像力と鏡像準位,バンドベンディングと表面局在準位
  吸着の電子論(ニューンズモデル),表面プラズモン
  表面電子状態の測定:光電子分光の基礎 と最近の研究

4.表面の原子ダイナミクス
  物理吸着と化学吸着
  吸着の統計力学
  熱脱離と光・電子励起脱離

担当教員Instructor 長谷川幸雄,福谷克之