談話会・セミナー

第7回 理論グループ共通セミナー (講師:松下 雄一郎氏)
2012.03.08

日 時: 2012年3月8日(木)17:30~
場 所: 61講義室(工6号館 263号室)
講演者: 松下雄一郎 氏 (物理工学専攻 押山研究室 博士課程2年)
題 目: Floating state: /sp/^3 ネットワークの構造多形とバンドギャップの関係の解明
概 要:
ワイドギャップ半導体である炭化ケイ素(SiC)は、絶縁破壊電場強度がシリコンの10倍であり、他にも耐熱性.熱伝導性に優れている等、パワーデバイス としての応用が期待されている。また、SiCには数百種類にもおよぶ多くの多形構造が存在することが知られている。中でも立方晶のウルツ鉱 (Wurtzite) 構造や六方晶の閃亜鉛鉱(Zinc blende) 構造はその代表的な多形構造である。これら構造はどれも/sp/^3 結合からなる結晶構造であり、構造の違いとしては第三近接以降の違いでしかない。それにも関わらず、SiCの物理的性質は多形構造に大きく依存し、例えば バンドギャップがその積層構造に大きく依存して40%にも及ぶ変化をすることが実験的に観られている。しかし、そのメカニズムは未だに理解されていない。 本研究の目的として、一般化勾配近似を用いた密度汎関数理論に基づき2つの点を明らかにすることとした。1つ目は、SiCにおける多形構造とバンドギャッ プの関係の解明とし、2つ目は、この奇異なバンドギャップの振る舞いは他の/sp/^3 結合物質においても観ることができる一般的な現象かどうかを調べることとした。
その結果、計算結果においてもバンドギャップの構造依存性が再現された。それは主に、伝導帯の振る舞いが多形間で異なっていることに由来していることが わかった。つまり、伝導帯下端のバンドにおいて、そのk点位置やエネルギー準位が構造に大きく依存していることを見いだした。そして注目すべきことにその 特徴的な伝導体下端の電子状態は原子核から離れたチャネル内部を広く広がった軌道、まさに/floating/ stateであり、原子軌道由来の電子状態ではないことを明らかにした。また、その広がり方は結晶の対称性に依存していることがわかった。次に、他の /sp/^3 結合からなる結晶としてSi, diamond, BN, GaN, AlNにおいても同様に調べたところ、SiCと同様にバンドギャップの大きな構造依存性と共にfloating stateを伝導帯下端に見ることが出来た。

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