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物理工学輪講第二

[注意事項]
輪講第二の「題目」・「要旨」は発表の1週間前までにoffice[at]ap.t.u-tokyo.ac.jpあてに送付して下さい。

        
2017年5月23日(火)14:55~16:55
Aグループ 62号講義室(2階262号室)
司会: Mohammad Saeed Bahramy 特任講師
Bグループ セミナー室C(3階372号室)
司会: 石坂 香子 准教授
発表者名: 馬場 翔太郎
指導教員名: 中村 泰信 教授/  宇佐見 康二 准教授
発表題目: 超伝導回路における10量子ビット重ね合わせ及び並列論理演算
要旨:  エンタングルした量子ビットの数を拡張することは,量子ビットを利用した量子計算を実現するために不可欠である.しかし、エンタングル状態は非常に壊れやすく,今も尚ノイズ等との戦いが続けられている.
今回の発表においては,つい最近発表された、固体系において10量子ビットを同時にすべてエンタングルさせた成果について紹介する.複数の量子ビットをすべてエンタングルさせることはゲート操作の方法や回路設計の困難さから、固体系においてこの論文以前には最大5量子ビットにとどまっており,興味深い成果である.

発表者名: 坂井 優太
指導教員名: 鹿野田 一司 教授
発表題目: 中性-イオン性転移物質の低エネルギー励起
要旨:  中性-イオン性(NI)転移は、電荷・スピン・格子の自由度が密接に相互作用することにより生じる相転移として古くから知られている。代表的なNI転移物質であるTTF-CAにおいては、その低エネルギー励起としてソリトンやドメインウォールのようなトポロジカルな励起を想定することにより、様々な実験結果をよく説明できることが明らかにされている。本発表では、NI転移物質のソリトン、ドメインウォール励起に関して、TTF-CAと比較対象として類縁物質であるTTF-BAの結果を交えながら説明する。

発表者名: 藤原 旭宏
指導教員名: 中村 泰信 教授/  宇佐見 康二 准教授
発表題目: 光子とフォノンの非古典的相関
要旨:  量子情報科学において、量子情報を扱う物理的実体は、様々なものが提案されている。それぞれの特性を活かしたハイブリッド量子系を実現することは、実用的な量子系を実現する鍵である。この発表で扱うのは、そのなかで、光子とフォノンのhybridizationだ。
昨年、赤外光光子(=電磁場)のラマン散乱を利用して、Siナノ構造上のフォノン(=機械的振動)を、生成・消滅できることが実験的に示された。この実験は、3つのステップから成り立っている:1.フォノン場の基底状態の準備、2.光子とフォノンの相互作用、3.量子相関の存在の証明
この発表では、この実験の背景に触れた上で、以上の3段階のステップの、原理・手法それぞれを説明し、そこから得られた結果およびその解釈を述べる。

発表者名: 高橋 泰賀
指導教員名: 鹿野田 一司 教授
発表題目: 有機分子性物質[Zn(tmdt)2]の圧力下電子状態に関する研究
要旨:  2015年、超伝導体の最高転移温度は、高圧下の硫化水素で203Kを記録した。一方、有機物の転移温度は20K程度である。卒業研究では、有機物の最高転移温度を更新することを目指す。Mott絶縁体と呼ばれる絶縁体状態では、バンド構造上は金属であるにもかかわらず、クーロン反発により電子が局在している。この状態に圧力を加え、電子の波動関数の重なりを大きくすると、電子状態が絶縁体から金属へと大きく変化する。この金属絶縁体転移はMott転移と呼ばれ、転移近傍の金属相では、超伝導状態がみられることがある。そこで、常圧下でMott絶縁体である[Zn(tmdt)2]を加圧し、Mott転移を引き起こすことを試みる。有機物の中では、[Zn(tmdt)2]は相互作用のエネルギーが大きいこと等から、有機物中の超伝導最高転移温度を示すのではないかと期待される。超伝導転移を観測した暁には、その仕組みを解明することが最終目標である。

発表者名: 村本 丈
指導教員名: 樽茶 清悟 教授/  山本 倫久 講師
発表題目: フォトンから電子スピンへの状態転写
要旨:  量子情報処理は、例えば量子ドットにトラップされた電子のスピンなどの物理系で行われる。量子情報を扱うネットワークにおいては、ある物理系から別の物理系に量子情報を正しく伝搬する事が重要である。古典的ではない量子通信は、フォトンを媒介して行われる。この量子通信の先駆けとして実際に、フォトンの量子状態を量子ドットにトラップされた電子のスピン状態に移す事に成功した論文を紹介する。
発表者名: 林 祐樹
指導教員名: 鹿野田 一司 教授
発表題目: 電荷におけるガラス状態の発現とその性質
要旨:  SiO₂のガラス状態である窓ガラスやワイングラスなど、我々の生活においてガラスはなじみの深い物質である。これらは物質を構成する粒子の運動がエネルギー的に最安定な状態である結晶状態に到達する前に、準安定な状態で凍結したものである。
近年、有機強相関電子系において、物質中の電子もガラス状態となることが分かってきた。この電荷ガラスにおいては従来のガラスのような構造欠陥や冷却速度だけではなく、結晶の幾何学的フラストレーションも重要な役割を果たすと考えられる。今発表においては、それらを踏まえて電荷ガラスの発現とその物理的な性質について紹介する。

 
 

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