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物理工学科 中澤 祐介

中澤 佑介

[ 物理工学専攻 川﨑・小塚研究室 修士課程1年 ]

学生目線で見た物理工学科の特徴

物理工学科での学生生活を概観してみます。まず2年生冬学期から3年生の間は量子力学や統計力学など、基礎的な物理学の習得に取り組む期間となります。またこの間に学生実験もあり、ここでは様々なテーマを通して基本的な実験の原理を学びます。そして4年生になると研究室に配属され一年間の卒業研究を行います。

 

3年生の学生実験との最も大きな違いは、卒業研究では各研究室で実際に行われている研究プロジェクトに一人の研究者として参加するということです。なぜその研究が必要なのかという背景や意義、そしてその将来展望などの全体像まで理解した上で研究を進めることが求められます。そのような中で日々の実験や解析、必要な物理の習得や研究室での議論に励むことによって学生は実力をつけていき、その集大成として卒業論文の執筆と卒論審査に臨みます。

 

物理工学科におけるこれら一連の教育の目標は、将来の活躍の場を大学などの基礎研究に求めるにせよ、企業などの応用研究に求めるにせよ、正しい問題意識に基づいた有意義な研究を自立して遂行できる人材を育成することであると理解できます。

 

また、大学院への進学率の高さも特徴の一つとして挙げられます。博士課程への進学率についても3割程度と国内では高い水準にあります。

 

その一つの理由として、物理工学専攻で博士号を取得した人材は企業からも非常に求められているということがあります。これは物理工学科が一貫して目指す、物理学という確かな学問的基礎に立脚しながら多様な問題の解決に臨む姿勢が、現代社会が抱えるエネルギー、環境、情報などを始めとする複雑で困難な課題に果敢に挑んでいける人物像として、現在まさに求められていることの表れであると捉えることができます。まとめると、物理工学科は現在の高度に複雑化された物質社会における問題に対して、根本的な解決に資することができる人材を責任を持って育成・輩出することに重きを置いており、その期待に応え、さらに超えていこうという高い志を持った学生を迎えることを熱望しているということです。

 

物理工学科に来て良かったこと

講義や教科書で勉強をしていると、物理学というのは一握りの天才的な研究者達によって理路整然と進歩を遂げてきたかのように思えます。

 

しかし、実際に研究の現場に身を置いてみるとそれは誤った認識であることに気が付きました。実際には理論、実験を問わず数多くの研究者が愛着と情熱をもって研究に臨み、結実することもあればときに挫折し、数えきれないだけの紛糾と紆余曲折の議論があり、そのような努力の上に今日の物理学の体系があるのでしょう。物理工学科では学生の一人一人が主役となり能動的に研究を行うことが強く求められます。そしてそのような環境においては、物理学という実に人間的な営みに参画しているということが自らの身をもって実感できます。これは非常に貴重な経験であると私は感じており、学生に活躍の機会が平等に与えられる物理工学科であるからこそ得られるものなのではないかと考えています。

 

進路を考えている(迷っている)新2年生へのメッセージ

進学先を考える上で何を重要視するかは人それぞれ異なると思いますが、自分自身のことを振り返ってみると結局は与えられた環境の中でどれだけ努力ができたのかということが成長や充実感と密接に関係しているように感じます。それは環境は重要ではないということでは決してなく、努力をした分だけ得られるものがある環境に身を置くことが大切なのではないかということです。ですから純粋に物理を学びたい人、物理を使って社会に貢献していきたいと考えている人、現代の様々な工学的な問題の最も基礎的で根本的な部分から解決に取り組みたい人など、皆さんが物理工学科に関心を持った理由は様々であると思いますが、ぜひ自信を持って進学して欲しいと思います。なぜなら皆さん一人一人の高い志に応え、それを実現させるだけの環境が物理工学科にはあるからです。

 

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古河電気工業株式会社 西片 一昭

西片 一昭

[ 工学博士 古河電気工業株式会社 研究開発本部 企画部 部長(1987年卒、1992年博士修了) ]

物工はどんな人を選ぶか?

このガイダンスブックを手に取った人は物理工学に興味を持っていますね。この本には物工はこんなすごい学科だよー、勉強は大変だけど楽しく生活できるよー、だから物工を選んでくださいって、書いてあることと思います。僕は逆に、物工はどんな学生を選びたいか、って考えてみました。物工に来るべき人は、ずばり、「リーダになりたい人」だと思います。学術界でも産業界でも官公庁でもリーダになれる人、そういう人を育成するのが物工の使命ではないかと思います。
皆さんは、たぶん、物理が好きで、でも理学部だと専門的過ぎるし、偏り過ぎる。工学部で広くバランス良く専門性を付けたいなという人が多いのではないかと思います。私は、博士課程まで物工にお世話になりましたが、そのまま大学に残ろうとは最初から思っていなくて、「広い専門性を武器にして民間企業のリーダになりたい」って気持ちでした。博士はあくまで専門性のツールでしかなかった。高い専門性を極めた学術界でのリーダ、これもあり。広い視野で産業界でのリーダ。これもあり。物工はリーダシップを考えている人を選びます。

 

物工で基礎を作る意味

物工のカリキュラムを見ると驚きませんでしたか? 基礎数学に基礎物理学、それだけで半分以上ある。いまさら基礎? 昨年秋に紫綬褒章を取られた古澤明教授を始め紫綬褒章を取られた現役の先生が4名もいる名門学科なのに、基礎ばかりなんて。。。 でも実は長い目で見るとそれが大切と共感しています。
(株)東京商工リサーチが発表している上場企業の平均年齢をみると、おおよそ40歳となっています。つまり、皆さんが社会に出て就職してもその企業が定年まであるかどうかは分からない。産業でも企業でも栄枯盛衰というのは結構激しい。最近では産業構造の変化(Industry4.0やSociety5.0)が産業・技術の進化を早めているので、栄枯盛衰はますます早くなっています。またどんな優秀な企業でも壁にぶつかったり経営が失敗したりして困難に陥ることがあり得ます。私が古河電工(株)に入社した1992年ではトヨタに就職すると言うのは失敗を意味していて、成功といわれたのは、NTT、IBM、東芝、シャープなどの通信・電子産業の企業でした。現在では、トヨタが一番で、他は二番か、ずっと下になっていますね。企業というのは長くは続かないのです。
また技術の変遷も激しい。半導体、通信システム、デジタル家電、スマホ、自動運転、とどんどん変わっていきます。3年前にはAIは一部の専門家だけが取り組んでいた技術でしたが、今では一般の人でも注目している最重要の技術となっています。
こういう動きが速い世界にきちんと対応する王道は、やっぱり基礎をきちんとやっておくこと。これに尽きます。物工の先生はそれを知っている。だから基礎数学、基礎物理にこだわるのです。物工を選んで、物工を卒業できれば、あなたは、これからますます速くなる環境変化に対応できる真の学力を持つことができます。

 

古河電工には物工からの卒業生が約100人働いています。一時に多くを採用するのでなくて、毎年一人、二人と入社していて、それが40年続いている。古河電工の研究開発の中で一大勢力。技術の系譜を作っていると自負しています。たとえば、AI応用開発は企業にいる人間にとって、ちょっと取り掛かりにくい敷居を感じるテーマなのですが、物工卒業生なら、大丈夫。広い興味としっかりした基礎の理解があるのであっという間にキャッチアップできます。実際、AI応用開発課の課長は卒業生ですし、AIを応用した生産プロセスの効率化も卒業生がやっています。

 

リーダーシップを考えるために

リーダとなるためには、自分のビジョンをもつことが大切です。ご自身は覚えていないかもしれませんが、東大総長の五神先生が若いときに「ノーベル賞級の研究はできる。研究だけでなく教育もできる東大にしていきたい。」と言われていました。この言葉が総長就任の原動力ではないかと私は思っています。自分のビジョンと、それと現実との乖離を認識することで、毎日の勉強が出来る。その先にリーダシップがあるものと思います。
参考図書として二つあげておきます。
スティーブン・R・コヴィー 7つの習慣 人格主義の回復(キングベアー出版)ジム・コリンズ ビジョナリーカンパニー④ 自分の意思で偉大になる(日経BP)みなさんの人生はこれからです。楽しみながら頑張ってください。

 

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