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卒業したら、そこは世界最先端
受賞者たちの卒論奮闘記

卒業する頃にはすっかり若手研究者の顔になっているのが物工生。例年2月に行われる卒論研究発表会では、毎年のように世界レベルに迫る研究が飛び出す。今年その中から選ばれた5人の優秀卒業論文賞受賞者が、初めての研究活動の醍醐味を語ってくれた。
[取材:2016年2月]

 
 

前例のない研究、予想外の結果。やってみないとわからない

上村 洋平/長谷川研究室
卒論題目:「有機強誘電体薄膜における分極反転機構と薄膜デバイスへの応用」

長谷川研では有機エレクトロニクス材料のデバイス応用を目指した研究を行っており、その中でも僕が取り組んだテーマは有機強誘電体です。デバイス化に向け、有機強誘電体の薄膜を作って電気分極の分布状態を可視化する、新たなイメージング技術の実現を目指しました。テーマ自体前例がない上、長谷川研がまだ新しい研究室でノウハウの蓄積も少ないため、長谷川先生や助教さんはもちろん、有機強誘電体の第一人者である産業技術総合研究所の先生の力もお借りして、最先端の研究設備を使わせてもらったりしました。何度となく失敗を重ねたけれど、それで一歩ずつ前進していくのは楽しかった。産総研の人と話していて、半導体の技術を使うというヒントを得たのが成功の決め手です。実際できてみると、当初予想していたのと違った原理でした。やってみないとわからないものだなと実感しましたね。この分野には、炭素や窒素といったありふれた元素からデバイスをつくるというロマンがあります。卒業後も引き続き、薄膜デバイスの実現を目指していくつもりです。


【 後輩たちへひとこと 】
物工は工学部ながら基礎的な研究も重視している学科。長谷川研のような有機の研究室でも、3年生で学んだ知識がないと理解できません。未来を考えたら基礎は必要ですよ。

 
 

半年間、測定すらできず大苦戦。自分ひとりでは成し得なかった

越川 翔太/岩佐研究室
卒論題目:「三次元層状極性半導体における電荷-スピン輸送特性」

研究室の助教さんからもらったテーマは、層状極性半導体の非相反輸送現象の観測でした。電流を逆に流すと違った抵抗値になるという現象で、これまで界面上でなら捉えられていたのですが、これを3次元の物質全体で観測するという試みです。その測定にはまず試料内の電気分極が揃うまで物質を小さくし、そこに電極を付けるのですが、これが半年以上も全くうまくいかず、測定すらできませんでした。9月の院試面接でも成果が見せられず、ノーデータ。周囲は次々と結果を出す中、つらい半年だったけれど、見込みはあると信じていました。同じ失敗を繰り返しているわけではなかったし、先生をはじめ周りの人からいろいろなアドバイスをもらいました。結局、理研の装置を使わせてもらって接触不良の原因を突き止め、イオンビームでサンプルを削ってやり直したら、ついに測定成功。さんざん苦しんだからこそ嬉しい成果でした。この結果は自分一人で得られた成果ではなく、周りに自分の研究を置いても相談に乗ってくれる人たちがいなかったら乗り越えられなかったのではと思います。


【 後輩たちへひとこと 】
物工には、自分の今までの価値観を破ってくれる先生や先輩がごろごろいます。こうなりたいと思うと自分のモチベーションが上がる。そういう出会いを大切にしてください。

 
 

遠い存在だった物理の最先端が身をもって体感できた

中澤 佑介/川﨑研究室
卒論題目:「ディラック半金属Cd3As2のパルスレーザー堆積法による薄膜化と量子輸送特性」

先生の人柄に惹かれて入った川﨑研究室。選んだ卒論テーマは、ディラック半金属という性質をもつ物質であるCd3As2をパルスレーザー堆積法という手法を用いて薄膜化し、その量子輸送特性を評価することでした。実際に実験を始めると、一向に製膜条件が定まらず試行錯誤の毎日でした。それでも、先生方や先輩からの数多くの助言や協力に支えられ、なんとか優れたサンプルを作製することに成功し、これまで報告されていない量子輸送現象を観測するに至りました。研究ではアイデアだけではなく、狙いを正確に実現するための気力や、研究テーマへの愛着を持つことも大切なのだと学びました。3年生の時は、物理の世界は手も届かず、目にも見えないので、どこか自分とは無縁なイメージもありましたが、こうして自分で最先端の研究に立ち会ってみると、その現場が実はすぐそこにあることが身をもって実感できたことが、とても良い経験になりました。修士課程では、更なる高品質Cd3As2薄膜の作製のために、別の手法での薄膜化の研究を続けて行きます。


【 後輩たちへひとこと 】
物工には日本はもちろん世界をリードする先生がいる、恵まれた環境です。世界の研究者と肩を並べる研究や論文に触れて、自分がすごいところにいるんだと感じました。

 
 

未踏の物理に挑んだ1年間。座学では学べない研究の精神

藤代 有絵子/十倉研究室
卒論題目:「Giant thermopower in MnGe with three-dimensional topological spin texture(3次元トポロジカルスピン構造を持つMnGeにおける巨大熱電効果)」

MnGeはこれまでの物理学では理解できない特異な物性を持っています。その秘密を探るため、MnGe研究の第一人者である助教の金澤さんとマンツーマンで測定実験に取り組みました。あらゆる測定を経験しましたが、ことごとく失敗。落ち込みましたよ。他の友人たちは何か一つの目標に向かって研究をしているのに、自分だけ目指すところが何もないという気がしました。でも金澤さんが「この実験がダメでも次の手がある」「進み続けていればいいことがある」と励まし続けてくれて。本当に心から尊敬しましたね。そして、これが最後の最後という実験で、既存の物理では説明できない、ものすごく不思議な結果が出たんです。あまりに謎すぎて、そのすごさが最初はわからなかったくらい。十倉先生に「わからないから面白い」と言われました。得られた実験データをどう解釈するかはまだこれからです。卒論は英文で書きました。英語の方が不自由な分、知識を整理してわかりやすく伝わるよう工夫できると思ったから。この経験を糧に、次は別の物質の測定実験に挑むつもりです。


【 後輩たちへひとこと 】
面倒見がいいのが物工の良さです。特に私の研究室では、学部生にも最先端の知識を詰め込んでくれます。3年生で普段の授業だけ頑張って基礎を身につけて来てください。

 
 

残り2週間で卒論テーマ変更!でも、試行錯誤は楽しかった

吉沢 徹/樽茶研究室
卒論題目:「ABA三層グラフェンにおけるバンド構造の電場変調のランダウ準位測定による評価」

バレートロニクスといって、電流を伴わない「バレー流」を使い、低消費電力で情報伝達を行おうという研究が進んでいます。僕の卒論では、三層に重なったグラフェンという物質を用いて、バレー流の発生と検出を目指すのが当初の狙いでした。ところがそのサンプル作製が難航。試行錯誤の末にようやくできたものの、いざ測定してみるとわけのわからない結果ばかり出てきたんです。先輩と話し合う中でその原因を突き止めたのが、卒論締切の3週間前でした。実はグラフェンの三層構造には2通りあって、僕が作っていたのは狙っていたABCという重なり方ではなく、ABAという形の方だったんです。その一方、できたサンプルがこれまでにないほど高品質で、とてもきれいなバンド構造が見られることもわかりました。そこで急遽テーマを変更、何も知らなかったABA三層グラフェンについて一から調べ、測定しながら何とか2週間で論文にまとめ上げました。いろいろあったけれど、試行錯誤している間もずっと楽しかった。今できることを頑張っていれば前進できると実感しました。


【 後輩たちへひとこと 】
物工は研究設備が整っていて深い探求ができます。トップクラスの先生も大勢いて、外部の学会などより物工の卒論発表会に集まる教員陣の方がハイレベルだったりします。

 
 

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