東京大学工学部物理工学科・大学院工学系研究科物理工学専攻

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内部学生向け(物工教務室)

物理工学輪講第二

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輪講第二の「題目」・「要旨」は発表の1週間前までにあてに送付して下さい。

        
2020年7月7日(火)14:55〜16:55
Aグループ  Bグループ  Cグループ
発表者名: 何 若凡
指導教員名: 古澤 明 教授 / 吉川 純一 講師
論文題目: d-levelクラスター状態を用いた高次元一方向量子情報処理
要旨: 量子ビットの測定をベースに量子計算を行う一方向量子情報処理では量子ビット同士が最大限エンタングルメントしあったクラスター状態が重要な計算リソースとなる。しかしながら大規模な量子計算のためにクラスター状態の量子ビットを増やすとノイズの影響を受けやすくなる問題がある。2準位量子ビットを多準位に拡張したQuditによるクラスター状態は、現実の粒子数(光子など)を増やすことなく計算リソースを増大させることが可能であると知られている。本発表では光子を時間方向と周波数方向に離散化しそれぞれをQuditとして扱い、それらの時間周波数成分に選択的にアクセスして光子を操作してクラスター状態を生成する手法を紹介する。
発表者名: 今村 薫平
指導教員名: 芝内 孝禎 教授 / 橋本 顕一郎 准教授
論文題目: キタエフ模型とスピンの分数化
要旨: フラストレーションの強い局在スピン系では、極低温でも磁気秩序を示さない量子スピン液体が実現することがある。キタエフ模型は、量子スピン液体を厳密解として持つ模型として注目されている。この模型では、スピンが遍歴マヨラナフェルミオンと局在Z2フラックスに分裂する「分数化」という現象が起こる。本発表では、分数化現象を捉えた実験例として、キタエフ候補物質α-RuCl3における半整数量子熱ホール効果の観測について紹介する。
発表者名: 黒川 亮
指導教員名: 十倉 好紀 卓越教授 / 金澤 直也 講師
論文題目: ベリー位相と異常ホール効果
要旨: 近年、物性物理学において、位相幾何学(トポロジー)の重要性が強く認識されてきた。量子力学的位相(ベリー位相)は、固体物性のトポロジカルな側面を記述する上で本質的な役割を果たす。本発表では、ヒルベルト空間内で定義されるベリー位相が、どのように固体物性に現れるのかを説明する。具体例として、強磁性体における異常ホール効果の内因的な機構について紹介する。
発表者名: ジョン ビョンギュ
指導教員名: 古澤 明 教授 / 吉川 純一 講師
論文題目: ガウス型状態におけるエンタングルメント蒸留
要旨: 光量子情報技術には主にスクイーズド光が使われる。完全にエンタングルした状態のスクイーズド光は生成できないため、混合状態を蒸留する必要がある。しかし、ガウス型操作のみではガウス型状態を蒸留できないことが知られている。本発表では、局所的光子引き去りという非ガウス型操作の導入によりガウス型状態のエンタングルメント蒸留を実現した論文を紹介する。
発表者名: 小林 雅之
指導教員名: 芝内 孝禎 教授 / 橋本 顕一郎 准教授
論文題目: スピントリプレット超伝導体とUTe₂
要旨: 超伝導状態では2つの電子が電子対状態を形成している。ほとんど全ての超伝導体は電子対がS=0のスピンシングレット状態を示す一方、S=1のスピントリプレット状態を示すものもあり、これは強磁性秩序を示すごく一部のウラン系超伝導体などで盛んに議論されている。しかし近年報告されたウラン系超伝導体UTe₂では低温まで強磁性転移を示さないにも関わらず、ウラン系強磁性超伝導体と類似した超伝導特性を示す。本発表ではUTe₂における磁化や比熱、上部臨界磁場、NMR測定などの実験結果を紹介し、超伝導発現機構やスピントリプレット状態について議論する。
発表者名: 池田 侑哉
指導教員名: 十倉 好紀 卓越教授 / 金澤 直也 講師
論文題目: 量子ホール効果とトポロジカル絶縁体
要旨: バルクは絶縁体だが表面は金属という特殊な性質を持つトポロジカル絶縁体は、近年急速に研究が発展した。その起源とも言える量子ホール効果から始め、トポロジカル絶縁体の機構や様々な性質について基礎的な理論を解説する。
発表者名: 長吉 博成
指導教員名: 古澤 明 教授 / 吉川 純一 講師
論文題目: ゲートテレポーテーションを用いた光量子計算
要旨: 光量子コンピュータは、大規模かつ高速な量子計算を可能にする技術として注目されており、量子状態の操作を現実的に実行可能にする手法の一つとしてゲートテレポーテーションが提案されている。本発表では、ゲートテレポーテーションの原理について解説するとともに、ノイズの影響についても解析し、エラーに対して頑健な量子計算が構成できることを説明する。
発表者名: 広瀬 夏彦 
指導教員名: 芝内 孝禎 教授 / 橋本 顕一郎 准教授
論文題目: 一軸歪みを用いたSr2RuO4の超伝導秩序変数の検証
要旨: Sr2RuO4は長い間、カイラルp波超伝導体の候補物質と考えられてきた。しかし最近になってそれを覆す研究結果がいくつか報告されている。本発表では一軸歪み下でSr2RuO4の超伝導転移温度や上部臨界磁場がどのように変化するか、またNMRによるナイトシフトの結果を紹介する。特にSr2RuO4の超伝導秩序変数がカイラルp波超伝導とは相容れないことに言及する。最後に一軸歪み実験の今後の展望について紹介する。