東京大学工学部物理工学科・大学院工学系研究科物理工学専攻

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内部学生向け(物工教務室)

物理工学輪講第二

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輪講第二の「題目」・「要旨」は発表の1週間前までにあてに送付して下さい。

        
2020年6月30日(火)14:55〜16:55
Aグループ  Bグループ  Cグループ
発表者名: 大西 嘉祐
指導教員名: 川﨑 雅司 教授 / 打田 正輝 講師
論文題目: パイロクロア型酸化物における量子相
要旨: パイロクロア型酸化物は、その磁気秩序と幾何学的制約の競合によるフラストレーション系を成しており、多彩な電気・磁気特性を発現することが提唱されている。本発表では、パイロクロア型酸化物における2-in/2-out・all-in/all-out構造といった磁気秩序の特徴とその電気磁気特性の説明、またそれらを実験的に確認した論文の紹介を行う。
発表者名: 澤村 駿
指導教員名: 高橋 陽太郎 准教授
論文題目: マルチフェロイクスにおける電気磁気効果とその光学応答
要旨: 空間・時間反転対称性の破れたマルチフェロイクスにおいては, 古典電磁気学では説明できない, 電気磁気効果が生じる。本発表では, 電気磁気効果の顕著な例として, 磁気秩序に由来した強誘電性の発現と, 電気磁気効果の光学応答について紹介する。
発表者名: 小川 和馬
指導教員名: 長谷川 達生 教授 / 荒井 俊人 講師
論文題目: 有機強誘電体における分極ドメインの運動
要旨: 強誘電体は、反転可能な自発分極を有するため、メモリ素子への応用が進められている。デバイス性能向上に向けて、強誘電体の分極反転特性を支配するミクロな分極ドメイン構造の理解が求められる。本発表では、プロトン移動型有機強誘電体における分極ドメイン構造と分極反転に伴うドメイン運動を観察した論文を紹介する。
発表者名: 宮澤 政駿
指導教員名: 川﨑 雅司 教授 / 打田 正輝 講師
論文題目: トポロジカル半金属と量子輸送現象
要旨: トポロジカル半金属は、対称性で保護された一部の点において伝導帯と価電子帯が一点で重なり、物質内部にエネルギーギャップをもたない電子構造を持つ。本発表ではこのうちディラック半金属と呼ばれる時空の反転対称性のある物質の高品質薄膜において、特徴的な物質表面の伝導を観測し、そこから考えられる新たな量子伝導について説明する。
発表者名: 正力 健太郎
指導教員名: 高橋 陽太郎 准教授
論文題目: テラヘルツ磁気光学分光を用いた遍歴強磁性体SrRuO3における異常ホール効果の研究
要旨: 異常ホール効果は磁性体特有のホール効果で、その機構についてバンド間遷移に基づく内因性機構と不純物散乱に基づく外因性機構という2つの異なる起源が提案されている。近年、内因性機構ではフェルミレベルがバンドの反交差点付近に位置することでホール伝導度が増大することが示唆されている。SrRuO3 はこうした機構により異常ホール効果が非自明な温度依存性を示すと考えられている物質の1つである。本発表では、SrRuO3を用いて反交差点でのバンド間遷移をテラヘルツ帯での分光測定によって直接観測し、異常ホール効果に対するバンドの寄与を実験的に明らかにした研究を紹介する。
発表者名: 村田 啓人
指導教員名: 長谷川 達生 教授 / 荒井 俊人 講師
論文題目: 配線印刷法に向けた銀ナノインクの分散安定性と自己凝集性
要旨: 近年、常温・常圧下で、印刷技術によって電子デバイスを作製するプリンテッドエレクトロニクスが注目されている。超高精細な金属配線を形成可能な新しい印刷手法(SuPR-NaP法)が開発され、溶媒内のナノコロイド分散安定性と溶媒乾燥後の自己凝集性という一見相反する性質を併せ持った特異な銀ナノインクが用いられている。本発表では、印刷配線形成とインク内の銀ナノコロイドの特異な分散挙動の起源について紹介する。
発表者名: 安波 貴広
指導教員名: 川﨑 雅司 教授 / 打田 正輝 講師
論文題目: エキゾチック超伝導とSr2RuO4の物理
要旨: Sr2RuO4の超伝導の対称性はカイラルp波であると信じられていたが、近年それを否定するような結果が示された。Sr2RuO4の超伝導はBCS理論で説明できないエキゾチック超伝導であるが、本発表では、そもそもエキゾチック超伝導とは何なのか、Sr2RuO4の超伝導についてこれまでどのようなことがわかってきたのかを紹介する。
発表者名: 大西 朝登 
指導教員名: 芝内 孝禎 教授 / 橋本 顕一郎 准教授
論文題目: FeSeにおけるBCS-BECクロスオーバー
要旨: 引力相互作用がはたらくフェルミオン系を記述する理論として、引力が弱い極限であるBardeen-Cooper-Schrieffer(BCS)状態と、大きい極限であるBose-Einstein凝縮(BEC)とをなめらかに繋ぐBCS-BECクロスオーバーが提案されている。BCS-BECクロスオーバー領域では新奇な量子凝縮状態が期待され、高温超伝導状態との関連も示唆されているが、このクロスオーバーの実験的研究は主に冷却原子気体で行われてきた。本発表では、最近報告された鉄系超伝導体FeSeでの超伝導ゆらぎ・擬ギャップの測定から、FeSeにおけるクロスオーバーの実現について紹介する。