東京大学工学部物理工学科・大学院工学系研究科物理工学専攻

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内部学生向け(物工教務室)

物理工学輪講第二

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輪講第二の「題目」・「要旨」は発表の1週間前までにあてに送付して下さい。

        
2020年6月2日(火)14:55〜16:55
Aグループ  Bグループ  Cグループ
発表者名: 池田 凜太郎
指導教員名: 有馬 孝尚 教授 / 徳永 祐介 准教授
論文題目: マルチフェロイック物質の方向二色性
要旨: 新たなデバイスに繋がる可能性のある物質の一つとしてマルチフェロイック物質が注目を集めている。マルチフェロイック物質とは強磁性・強誘電性・強弾性の内、複数の性質を持つ物質のことを指す。空間反転対称性・時間反転対称性が同時に破れたマルチフェロイック物質では、印加した電場(磁場)に対して磁化(電気分極)が生じるという現象がみられる。この現象の中で光学応答に特徴を持つものを電気磁気光学効果という。電気磁気光学効果に含まれる方向二色性は光の進行方向が反転すると吸収率が変化するという性質であり、電気双極子遷移と磁気双極子遷移の干渉が原因と考えられている。ここでは、方向二色性を示すメタホウ酸銅(CuB2O4)が、ある条件下では一方からの光を透過し、他方からの光を遮断するという現象について紹介する。
発表者名: 濱尾 智
指導教員名: 石坂 香子 教授
論文題目: 角度分解光電子分光による遷移金属ダイカルコゲナイド単層薄膜のバンド構造の観測
要旨: 成膜された単層薄膜試料はバルク試料とは異なる特異な物性を示す。本発表では、実験手法である分子線エピタキシー法と角度分解光電子分光法を説明するとともに、遷移金属ダイカルコゲナイドMoSe2、WTe2およびWSe2における単層試料の電子状態について紹介する。
発表者名: 大島 久典
指導教員名: 賀川 史敬 准教授
論文題目: 磁気スキルミオンとトポロジカル電磁応答
要旨: 磁気スキルミオンとは磁化の特殊な渦構造のことを指し, その発現は強磁性相互作用とDM相互作用の競合に由来する. 特に磁気構造のトポロジカルな特徴を反映して、トポロジカルホール効果など、特徴的な電磁応答が生じる. トポロジカルホール効果の温度依存性に関しては, 非平衡過程を用いた不揮発な相制御技術によって研究可能になりつつある. また, 関連する新たな磁気デバイスの発明も期待されている. 
発表者名: 木村 真栄
指導教員名: 有馬 孝尚 教授 / 徳永 祐介 准教授
論文題目: 対称性の破れた物質における電気磁気効果
要旨: 
物質の示す強誘電性、強磁性といった物性は対称性の破れによって生じる。強誘電性は空間反転対称性を破った分極Pによって特徴づけられ強磁性は時間反転対称性を破った磁化Mによって特徴づけられている。そのうち今回は一般的には磁場Hを用いて定義される磁化Mが電場Eのみによって誘起される物質とその原理を紹介する。ペロブスカイト構造をとるRFeO3(R=希土類元素)では希土類元素と鉄のイオンの大きさが影響して構造が歪み分極Pと磁化Mが結びつく状態になる。その状態のRFeO3(R=Dy0.75Gd0.25、Dy0.70Tb0.30)に電場を印加すると分極Pに伴って磁化Mが誘起される。また逆電場を印加すればPもMも反転する。電場を印加して電流を流さず磁化を制御できる絶縁体はエネルギー損失の少ないスピントロニクスでの活用が期待される。
発表者名: 山本 崇人
指導教員名: 石坂 香子 教授
論文題目: 顕微角度分解光電子分光による原子層WTe2フレークのバンド構造観測
要旨: 原子レベルの厚さを持つ原子層フレークの作成技術の発展により、2次元結晶の新奇物性が盛んに研究されている。本発表では、グラフェンで保護された原子層WTe2のバンド構造を顕微角度分解光電子分光により明らかにした研究を紹介する。
発表者名: 髙橋 安徳
指導教員名: 賀川 史敬 准教授
論文題目: 相転移の動的回避を用いた量子相の不揮発制御
要旨: 急冷または試料の微小化を用いることで一次転移を動的に回避でき、従来の相図上に見られない準安定の相を作り出すことができる。また、電流パルスを用いた温度制御法により、安定相、準安定相の不揮発相制御が可能となる。本発表では、超伝導及びスキルミオンにおける実証例とそのメカニズムについて解説する。


発表者名: 中澤 世阿
指導教員名: 有馬 孝尚 教授 / 徳永 祐介 准教授
論文題目: X線による分光ホログラフィーを用いた物質の磁気イメージング
要旨: コヒーレントかつ円偏光のX線を物質の薄膜に照射し、その透過光と元のX線とを干渉させて得られるCCDイメージは、元の薄膜の磁気構造のフーリエ変換になっています。透過光と干渉させなくても、元の位相情報も復元できれば、磁気構造を確定できます。現在その位相を復元するアルゴリズムについて、活発に研究がなされています。
発表者名: 荒木 那巨 
指導教員名: 齊藤 英治 教授
論文題目: 記憶を物理で表現する
要旨: 脳の構造を物理学的な観点から見ることを考える。脳を表現するにあたって不可欠なホップフィールド模型を解説し、スピングラス理論及びHebbルールに則ったスピン間の物理的な表現を考える。
発表者名: 多屋 奏一 
指導教員名: 為ヶ井 強 准教授
論文題目: 第二種超伝導体中の臨界永久電流と磁束バンドルの熱力学的理論
要旨: 第二種超伝導体は多くの場合完全なマイスナー効果を示さず、磁束が貫入している。貫入した磁束が磁束量子で量子化された糸(磁束バンドル)として振る舞うという予想は管状の超伝導体を用いた実験を通じて裏付けられた。またこの測定方法により臨界永久電流が時間の対数で減衰することが観測された。一方で磁束バンドルの熱力学的運動の考察は臨界状態の性質を明らかにした。本発表では管状の超伝導体を用いた実験の詳細と磁束バンドルの熱力学的理論について解説する。