東京大学工学部物理工学科・大学院工学系研究科物理工学専攻

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駒場での講義

2019年度 Sセメスター

主題科目(全学自由研究ゼミナール)
物理学汎論曜限:火曜5限(16:50-18:35) 教室:K114教室  初回開講日:4月9日(火)

【授業の目標、概要】

物理学は、力学、熱力学、電磁気学、量子力学、…等といくつもの科目にわけて講義されることが多いが、実際は人類の膨大な思考の積み重ねによって、一つの統一された学問を形成している。そこで本講義では、歴史と最新の発展をふまえて、物理学の全体像を俯瞰することを目標とする。

まず前半では、相対性理論を解説する。時間の遅れやローレンツ収縮などの不思議な現象を通して、時空や対称性といった物理学の基本的な考え方を学ぶ。
次に後半では、「光子」を題材にして量子力学をゼロから学び、ミクロな世界の物理法則が如何にマクロな世界とは異なっているかを議論する。さらに、量子暗号や量子テレポーテーション、量子コンピュータのアルゴリズムなど、量子力学の性質をフル活用した最先端の量子情報技術の紹介を通して、量子力学をより深く理解することを目指す。

【授業計画】

  1. 相対性理論 時空の幾何学
    慣性系と時空の対称性、ローレンツ変換・時間の遅れ・ローレンツ収縮、物理法則の対称性、一般相対論の入門など
  2. 量子物理学 ミクロな世界の法則
    確率振幅、ヒルベルト空間、不確定性原理、シュレーディンガーの猫、量子暗号、エンタングルメント、ベルの不等式、量子テレポーテーション、ショアのアルゴリズムなど
総合科目E(物質・生命工学基礎ⅠB)
量子コンピューター入門曜限:水曜5限(16:50-18:35) 教室:164教室  初回開講日:4月10日(水)

講義内容:

量子コンピューターの研究は、微細加工技術が進歩し、情報処理を担う「素子」が原子レベルに近づきつつある今日、当然の流れと言えよう。「素子」が原子レベルに近づくと、その動作はニュートン力学ではなく量子力学という運動法則に支配される。そこでは、アインシュタインとボーアの論争に代表されるシュレーディンガーの猫状態やEPR相関(一種のテレパシー??)が実際に起こる。量子コンピューターでは、これらの摩訶不思議な「量子効果」を用いて、情報のやり取りや情報処理を行う。この講義では、量子コンピューターの原理と現状についての入門的な講義を行う。

初年次ゼミナール理科
物理のための数学ゼミ曜限:火曜3限, 金曜3限 第1、2週 合同ガイダンス・講義 900番講堂

講義内容:

大学で物理学を勉強するに当たり必要と思われる数学的知識をゼミ形式の演習と発表を通して理解を深めます。物理学習得のための数学の初歩を学び、学んだ数学が実際にどのように使われているかを自分で調べ、調べた内容を他の受講者の前で発表します。半導体や金属などの身近な物質の性質を研究対象とする物性物理学を中心的な題材としますが、それ以外の興味ある物理学のトピックに着目しても構いません。受講者を4,5名から成る グループに分け、各グループで興味ある物理学のテーマを設定し、そこに使われている数学について解説したり、自分で関連した問題を作成して解法を解説する形式で進めます。受講者間の討議や文献検索を通して内容をまとめ、それをプレゼンテーションあるいは論文として他人に分かりやすく伝える事を学びます。

平成30年度 A セメスター

総合科目(現代工学基礎Ⅱ)
物理をエンジニアリング曜限:木曜5限(16:50-18:35)

講義内容:

物理学とエンジニアリングは互いに切っても切れない関係で発展して来ました。産業革命に刺激されて発展した熱力学、電磁気学の方程式から生まれた電信技術、ドイツ鉄鋼業から生まれた量子力学、など歴史を繙くとその例には事欠きません。そして現代、その関係はどのようになっているのでしょうか? この講義では、身近だけれども不思議な現象を実際にお見せするところから始めて、その謎解きとその奥にひそむ物理を解説し、さらに現代科学技術との関係までのストーリーを下記の4つのテーマについてそれぞれ「読み切り」で示します。そして、物理がエンジニアリングに「応用される」というだけの関係ではなく、エンジニアリング自体が物理学を変革してゆく様子を皆さんにお伝えします。

  1. 超電導
    量子の世界からエネルギー革命へ
  2. ナノサイエンス
    オングストロームの世界を操る
  3. 光の物理学
    光と原子の物理学―レーザーで原子を冷やす
  4. 理論物理学の挑戦
    基礎方程式の力
主題科目(学術フロンティア講義)
ノーベル賞に学ぶ物理工学曜限:金曜5限(16:50-18:35) 初回開講日:9月28日(金)

授業の目標、概要:

近年のノーベル物理学賞の多くは、磁性や超伝導などの物性物理学、量子光学、量子情報、ソフトマターなど「物理工学」と呼べる分野での受賞となっている。これらの受賞内容を学ぶことは、物理工学の歴史や今後の展開を知るのにいい機会になると考えられる。そこで、過去40年間のノーベル物理学賞から物理工学分野に関連の深い受賞テーマをとりあげ、その物理的背景や受賞後の発展などを含めて、各テーマを専門とする教員陣がわかりやすく解説する。

授業のキーワード:

ノーベル物理学賞、物理工学、物性物理学、量子光学、量子情報、ソフトマター

授業計画:

工学部物理工学科の教員による、以下の13回の授業日程を計画している。なお、都合により日程の変更もあり得る。

日程 担当教員 担当テーマ 受賞年 受賞者
09/28(金) 芝内教授 高温超伝導 1987 Bednorz, Müller
10/05(金) 杉本准教授 走査トンネル顕微鏡 1986 Binning, Rohrer
10/12(金) 川﨑教授 半導体物性 2014 Akasaki他
10/19(金) 香取教授 精密レーザー分光 2005 Hall, Hänsch
10/26(金) 渡辺講師 対称性の破れ 2008 Nambu
11/02(金) 有馬教授 中性子散乱 1994 Brockhouse, Shull
11/09(金) 吉岡准教授 ボース・アインシュタイン凝縮 2001 Cornell他
11/30(金) 石坂教授 光電子分光 1981 Bloembergen他
12/07(金) 宇佐見准教授 量子情報 2012 Haroche, Wineland
12/14(金) 千葉准教授 磁気抵抗 2007 Fert, Grünberg
12/21(金) 古川准教授 ソフトマター 1991 de Gennes
12/25(火) 為ヶ井准教授 超伝導、量子渦 2003 Abrikosov他
01/11(金) 求教授 トポロジカル相 2016 Thouless他

授業の方法:

毎回、各テーマを専門とする教員が、交代で講義形式にて授業を行う。出席者は毎回小レポートを授業中に提出する。

成績評価方法:

毎回提出する小レポートにより評価を行う。

教科書:

教科書は使用しない。

参考書:

参考書は使用しない。

ガイダンス有無:

第1回授業日に行う。

関連ホームページ:

http://www.ap.t.u-tokyo.ac.jp/